ラシュフォードら、マンU選手多数輩出のクラブが存亡危機

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マンチェスターユナイテッドのホームスタジアム、Theatre of DreamsことOld Traffordから南に約6km, Mersey Banks Playing Fieldsに6歳から16歳の年代で構成されるクラブチームがある。フレッチャーモス レンジャーズ。グラウンド脇の”部室”にはトロフィーが入りきらなくなっている棚、過去の在籍選手の写真、学校用の長椅子が置かれ、かつてはウェルベックもここでスパイクを準備しながら仲間と談笑していた。

ELデビュー戦で2ゴール、プレミアリーグデビューはアーセナルから2ゴールという衝撃的なプロキャリアのスタートを飾ったラシュフォードもこのクラブの出身。しかしラシュフォードはフレッチャーモスが輩出したプレイヤーの一人に過ぎない。この地元クラブは多くのプレイヤーをユナイテッドに送り出している。
最初にユナイテッドに加入したのが、ファーガソン時代の黄金期にセンターバックとして活躍したブラウン(サンダーランド)。ファーガソンをして”今まで見た中でも天性のディフェンダー”と言わしめた。最近ではウェルベック, リンガード, モリソンらを輩出し、新たにラシュフォードがプレミアリーグデビューを果たした。

しかし現在クラブは、今後期待の若手を育成し輩出することが困難な状況に陥っている。10,000ポンド(約160万円)の年間運営費と毎月6,000ポンド(約96万円)のグラウンド使用料が逼迫した問題となっているからだ。施設はもはや不十分で大規模な資金調達がかなわなければ、存続は難しい。先述の部室内には、対戦相手と交換したシャツは洗濯バサミで吊るされるか、水道管に掛けられている状態。選手が着替えている間は他チームの選手、スタッフ、保護者はトイレが使えない。部室にしかないからだ。

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アカデミーの職員、ホロックス氏は
「育成クラブから選手を持っていくだけで、何も還元されないというのは憂慮すべき事態。FAが介入して育成年代のクラブに再分配しても良いだろう。」と語る。またトップクラブに寄付を掛けあっても断られるという。あるクラブは選手の貢献度に応じて支援を申し出たが、肝心の契約書へのサインは断られた。

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「育成年代のクラブへの感謝がないと見なしているわけではないが、選手たちも還元できることがあるだろう。チャリティは節税にもなるし、毎月いや年4回でも支援して貰えれば非常に助かる…。」と漏らす。

ユナイテッドのレジェンド、ライアン ギグスは6歳から14歳まで所属していたDeans FCを非常に熱心にサポートしている。しかし「彼のような人間は100万人に1人」だそうだ。

クラブは2016年3月末までにマンチェスター市議会で地元グラウンド再生へ向けた200万ポンド(約3.2億円)の融資に関する事業計画を説明しなければならない。
120万ポンドはクラブハウス、80万ポンドは一般開放もする照明付き人工芝グラウンドの建設に充てる予定だ。(イングランドのグラウンド事情の詳細)
(参考記事:Mail Online)